臨床医の活躍の場は臨床現場だけではありません。
臨床研究の成果による医療の評価や予防医療によって、新しい医学を開拓し社会貢献するという使命もあります。
臨床研究者養成コース(Master program for Clinical Research: MCR)は、医学研究科社会健康医学系専攻(School of Public Health: SPH)の特別コースで、臨床医を対象とした1年制のコースです。これまでの我が国の医学研究は、主に生命科学研究に重点をおいてきましたが、同時に人や集団を単位とした臨床研究を推進する必要があります。MCRは、この領域で活躍する研究者を育成するための、我が国で初めての本格的な教育課程です。自らの臨床経験に根ざしたリサーチ・クエスチョンにもとづいた臨床研究を志す方の応募を歓迎します。
開設以来MCRプログラムを牽引されてきた福原俊一教授のご退任を受けまして、 2020年度から、ディレクターを引き継いでおります。
臨床研究を実施したいという学内外の若手医師に対するMCRのインパクトは凄まじいものと感じています。医学研究によって医療をより良くしたいがその手法がわからないと悶々としている医師にとって、臨床研究の基礎や各種領域を学び、自身で研究を遂行し論文を発表するという痒い所に手が届くようなプログラムは大変魅力的であり、これまで多くの医師が、本プログラムへの参加という人生を賭けた重要な意思決定をして、そして成功してきました。さらに昨今、大規模な診療情報データベースを用いた研究や、デジタルヘルスの領域へと臨床疫学研究は益々発展しています。
私たち教員たちは、参加者の期待に応えるべく、今後も講義の提供と熱意ある研究指導を行っていきます。
プログラムディレクター薬剤疫学分野 教授 川上 浩司