アドミッションポリシー
臨床研究者養成コース(Master program for Clinical Research: MCR)は、医学研究科社会健康医学系専攻(School of Public Health: SPH)の特別コースで、臨床医を対象とした1年制のコースです。これまでの我が国の医学研究は、主に生命科学研究に重点をおいてきましたが、同時に人や集団を単位とした臨床研究を推進する必要があります。MCRは、この領域で活躍する研究者を育成するための、我が国で初めての本格的な教育課程です。自らの臨床経験に根ざしたリサーチ・クエスチョンにもとづいた臨床研究を志す方の応募を歓迎します。
学習達成目標
- 臨床研究を支える種々の基本理論、知識、実践スキルに習熟すること。
- 自分の臨床上の疑問をリサーチ・クエスチョンに構造化し、研究実施計画を作成する、研究の実施・マネジメント、得られたデータの基本的な解析処理、結果の解釈、論文にまとめる、などの一連の作業を独力あるいは他と協力して行うこと。
- 自分の臨床研究の計画・実施・解析・解釈の過程で生じる疑問について、適切な時期に、適切な専門家に、適切な内容のコンサルテーションができること。
MCR教育プログラムの特徴
集中的な授業・実習
MCRでは1年間で所定の単位(30単位)を取得できるように組まれています。臨床研究の基本(理論、知識、方法、実践スキル)を体系的に学習できるよう、各科目間に連続性や有機的な関連性を持たせて全体のカリキュラムがデザインされています。実際の研究計画策定や、研究の実施、データ解析などを個人指導を受けながら実学として学習することも重視しており、1年間京大に通学する必要があります。さらに、社会健康医学系専攻ではMCR必須科目以外に多くの選択科目が提供されており、学生は自由にこれを履修することができます。なお、学生が入学前に取得した科目があり、既修得単位として認められれば履修が免除されます。(必要単位数の1/2以内)。
個別指導(メンタリング)の重視
MCRコースの学生には、入学時に1~2名の 担当教官(メンター)を決定します。メンタリングは、個々の学生の研究プロトコールの作成や既存のデータの二次解析の指導、および実際の研究計画実施上の指導を行なう。研究の内容により、複数の異なる領域の専門家がメンターとなることもあります。メンターの決定にあたっては、学生本人、所属先(MCR入学前あるいは修了後)の指導者、そしてMCRメンター候補の三者で協議を行い決定します。
修了時の課題研究発表と試問
MCR修了時に、全ての学生は、自分のリサーチ・クエスチョンに基づく臨床研究プロトコールあるいはこれに替えて既存データの二次解析による論文を完成させ、発表会で試問を受け、合格する必要があります。なお専門職大学院のため、修士論文などは課しません。
MCR授業科目
- 【MCR限定必修科目】
- 臨床研究計画法I・II
- 臨床研究計画法演習I
- 医療技術の経済評価
- 【MCR限定選択科目】
- 系統的レビュー(夏季集中)
- データ解析法特論
- EBM・診療ガイドライン特論
- 臨床研究計画法演習II
- 臨床研究データ管理学
- 臨床研究特論
- 社会疫学研究法
- 医療統計学(MPHコア)
- 疫学I [疫学入門](MPHコア)
- 疫学II [研究デザイン](MPHコア)
- 観察疫学研究
- 文献評価法
- 臨床試験
- 感染症疫学/産業・環境衛生学(MPHコア)
- 社会健康医学と健康政策/医薬政策・行政/保健・医療の経済評価/医療制度・政策/世界における医療制度・政策(MPHコア)
- 行動科学/基礎医療倫理学/医学コミュニケーション基礎/社会疫学(MPHコア)
- 医療の質評価/医療統計学実習
- 交絡調整の方法/解析計画実習
- 健康情報学I/メタアナリシス
- 医薬品の開発と評価/医薬品・医療機器の開発計画、薬事と審査